アート・メディア論コース

本コースには大きく言ってふたつの柱があります。ひとつめの柱は、映像・空間メディア・サイバーメディア等これまで人文学や芸術学の分野では十分に扱われてこなかった領域、新しく形成され社会的重要度を高めつつある領域の研究拠点を形成し、現代アート・メディアの諸問題を専門的かつ実践的な視点から教育していくことです。ここでは既存の芸術論の枠を超え、社会的現実により密着したメディア・リテラシー等の理論学習をおし進める一方、コンピュータによるメディア処理能力を高めるための実習をも合わせて行うことが主要な目的となります。ふたつめの柱は、文化政策もしくは芸術計画に関する多角的研究です。つまり絵画・演劇・映画・文学テクストといった芸術作品を自律したものとしてとらえるのではなく、アート・メディア全般の製作および受容の具体的プロセスに着目することによって、その文化的・社会的な機能の解明をめざすわけです。ここでは作品の分析や解釈以上に、作品を刊行・公開・上演する際の政策(ポリシー)とシステム、およびそれらを介した作品と受容者との力動的な関係が問題の中心に据えられます。

前者が多岐にわたるアート・メディアのいわば「中身」を扱うのに対して、後者は作品そのものではなく作品の「外側」あるいはそれが位置すべき「環境」を問題にすると言ってよいかもしれません。ただし本コースに所属する学生諸君はどちらか一方を専攻すると言うより、むしろ2本の柱をともども自らの支えとすることで、最終的には芸術的実践をモデルにした人間と社会との連携を各人なりに模索し構想する水準にまで到達する(少なくとも到達すべく努力する)ことが求められるでしょう。

以上の理念に基づき、本コースはアート・メディアに関する深い理解と幅広い知識(既存の学問的ディシプリンを含む)を身につけ、専門性と実践的能力を生かしつつ社会で活躍できる人材の育成をめざします。